味方

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その言葉に首を捻る。確か淳也は転校生が好きだった筈だ。 「…俺は嬉しいが、無理しなくていい」 「へ?なんで?」 寮につき、エレベーターを待つ。なんで?と言われても、というか何故なんで?と聞くのだろうか?転校生が好きなら一緒にいたいのがセオリーだろう。 少しの沈黙をチンという音が払拭した。 エレベーターの扉が開くと、中には副会長達がいて出てくる。 「あ、会長」 「あーこんばんは?綾に大地。お前ら今からどこ行くんだ?」 「千晴がいないので探しにいこうかと思いまして」 そう言った綾は心なしか顔が赤い。 「本当に好きなんだな」 「えぇ、ですから会長は近づかないで下さいね。行きましょう、大地」 俺らに背を向けて歩いてく綾達。 「会長~、エレベーター閉まっちゃうよー?乗って下さいな」 「ん?おぉ。悪い」 「副会長達と何話してたの?」 「転校生を探しに行くって…そういえば、淳也は行かなくていいのか?」 やっぱり行くのかな?行って欲しくないな…だが淳也は転校生が好きなんだ。…淳也も"近づくな"とか言うのか?転校生に近づくなという事は転校生と一緒にいる綾達にも近づけないだろう。そしたら淳也にも、か…? 「会長ってば何言ってるの?」 その言葉にいつの間にか俯いていた顔をあげると淳也がニッて笑って頭を撫で始めた。 「捨てられた子犬みたいな顔して、もう。約束したでしょ?今日は一緒に食べるって。会長さえよければ、今日だけじゃなくずっと一緒に食べたいなぁって言ったよ俺」 俺の頭を少し背伸びをして撫でてくれる淳也が、俺には凄く大きく思えた。
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