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部屋につきカードを財布の中から取り出す。
どこの高級マンションだと、つっこまれてもおかしくないだろうが、この学園は鍵としてカードを使う。しかもこのカード、クレジットカードの役割も持つから、なくしたら大変だ。
「ただいま」
扉を開けて、中に入る。一人部屋なので当たり前だが中には誰もいない。…が、癖でまた"ただいま"と言ってしまった。"おかえり"が返ってくるはずもないのに。
「おかえり、会長」
ふと、聞こえた声に振り返る。
「おか、えり…?」
「うん、おかえり。あ~でも俺の部屋でもないのに偉そうにごめんね」
「謝らないでくれ。その…久しぶりに聞いたから嬉し、かったんだ」
何故だろう?
さっきから淳也は俺の嬉しいことばかりしてくれる。まるで、あの人達みたいだ。
「お邪魔しまーす。おぉ~、ここが会長の部屋かぁ。すげー」
「たいして淳也んとこと変わらないだろう?」
「んにゃ~、俺の部屋は正直足の踏み場がないよ」
あはは、と乾いた笑いをする淳也にそんなにヤバいのかと疑いの目を向ける。
しばらくの沈黙後どちらからともなく噴き出した。
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