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「とりあえず、飯作るからソファにでも座っといてくれ」
「先生!!何か手伝うことはありますか?」
リビングのソファにかけていた紺のエプロンを着ながら言うと、はいはーいと淳也が手を挙げて答えた。
「…くつろいでていいんだぞ?」
「え~でもお手伝いしたい!」
「そうか。じゃぁ手を洗ってからな」
「はーい」
洗面所で二人で手を洗ってからキッチンに立つ。
「じゃぁ、まずは玉ねぎのみじん切りかな。包丁使ったことあるか?」
どうもこの学園は金持ちの子息が集まると言うことで調理実習がない。まぁ備え付けのシェフがいるなら確かに必要ないのだろうが。それなのに部屋にキッチンが付いてるのは不思議だよなと思う。
だから、もしかしたら淳也も包丁持ったこと無いかもしれない。
「無いよ~ナイフならあるけど」
「?果物ナイフか?」
「うん、そんなとこ」
ナイフ使ったこと有るなら大丈夫か?
「じゃぁ、縦にこう切って横にこうして切ってくれ」
そう言って皮を剥いた玉ねぎと包丁を渡す。
「了解~」
淳也は包丁を手に取り、真剣に玉ねぎをみじん切りする。
「うまいな」
「え!?ほんとぉ?」
「あぁ」
これなら目を離しても大丈夫だな、と俺は淳也が玉ねぎを切る間、昨日蒸かしておいたジャガイモでポテトサラダを作りスープも作る。
こんなに楽しく料理をするのは初めてかもしれないなと思いながら。
「わぁ、美味しそう」
目の前には、オムライスとポテトサラダとオニオンスープ。
「あぁ、そうだな」
淳也と一緒に作ったからか、本当にとても美味しそうだ。思わず口角が上がるのは仕方がないだろう。
「「いただきます」」
合掌して食べ始める。
久しぶりの一人じゃないご飯は、何でか涙が出そうになるくらい美味しかった。
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