味方

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「ふぅ~食べた食べた。ごちそうさまです」 「お粗末様です」 お腹をポンポンと叩いて言う淳也に笑って返す。 すると淳也があーとかうーとか言って頬を染めるから何事かと驚いて後ろを見るが、そこには特に何も変わらない俺の部屋があるだけだ。首を捻ると淳也がテーブルに身を乗り出してきた。 「あのさ会長。俺会長に嘘ついたんだ。何でこんな嘘ついちゃったのか自分でも解らないんだけど」 「…嘘?」 「うん。あのさ…俺、本当は黒マリ…いや、転校生のこと全然全くこれっぽっちも好きじゃないんだ」 意を決した様に、言う淳也に嘘をついているような節はない。ないが、どうしてそんな嘘をついていたのだろうか?それに… 「淳也は…セフレという奴との関係を怒られて嬉しかったんじゃないのか?」 単純な疑問。 嘘をつかれたことに怒りや悲しみはない。まぁ人間なんだし嘘の一個や百個くらい日常的につくだろう。俺だって、嘘をついたことはある。だから、真実を知ったって、ただ無感動にそうなのか、と受け入れられる。多分俺には関係ないとどこか冷めた自分が思っているのだろう。 「セフレ…も嘘なんだ。嘘というか、高校に入ってある人に出会ってから辞めたんだ。そういうのは」 「そうか」 「うん、嘘ついててごめん」 「いや、というか何故謝る?」 「どうしてって、悪いことしたから?」 「悪いこと、か」 ふと、笑いが出る。…悪いこと、か。そうかもな。嘘が俺を救ったけど、彼等を救った訳じゃない。俺は最低だ。本当に、ごめん。ごめん、西園寺さん。 「会長、大丈夫?」 「あ、あぁ。大丈夫だ。悪い。意識を飛ばしてた。どうする、帰るか?それともテレビでも見るか?」 「んー今日は帰るね。また明日一緒にご飯食べてくれる?」 「あぁ。もちろん」 そっか、と嬉しそうに呟いて淳也が部屋に戻っていく。 …また明日、か。 帰り際に淳也が手を振って言った言葉をポツリと呟く。それは思ったよりも明るい音だった。
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