彼等

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ピンポーン 「あ、すみません。誰か来たみたいです。ちょっといいですか?」 「えぇ、構わないわ。お友達かしら?」 電話中、玄関のチャイムが鳴り、外に立っているだろう淳也を迎えでる。 「はい。多分淳也だと…えと、同じ生徒会で同級生の竜ヶ崎淳也と夕飯を食べているんです」 そう千恵さんに伝え、鍵を開けて扉を開ける。 そこには、予想した通り、コンビニで買ったのかお菓子を持って立っている淳也がいた。 「こんばんは、会長。電話中?」 「あぁ」 「俺出直そっか?」 「いや、いい。上がってくれ」 心配そうに見てくる淳也にそんなに気を使わなくていいのに、と苦笑する。だが、俺はそんな気遣いの出来る淳也を尊敬していたりする。 「ねぇ、しぃ君。あの…お友達とちょっとお話したいなぁ、なんて。駄目かな?」 淳也にソファに座って貰ってから、急に聞こえてきた声に驚く。が、内容にも驚く。 「駄目ではない、ですが…ちょっと待って下さい」 そう千恵さんに告げ、携帯を耳から離して淳也を見る。淳也は不思議そうに俺を見上げてくる。 「電話いいの?」 「あのな、あー千恵さんが淳也と話をしたいらしくてな。良かったら、代わってくれないか?」 「いいけど…千恵さんて誰?」 「俺のか…」 「蚊?」 千恵さんのこと、母さん、と呼んでもいいんだろうか。続柄的には俺は俊さんと千恵さんの養子ということになっているので、あっていると思うが。 「俺の母さんだ」 「あぁ。なる「あっあなた今しぃ君が私のこと母さんって」…ほど」 電話越しに凄い声が聞こえてくる。本当に喜んでいるんだろう声。 「もしもし、千恵さん」 「もっもう"母さん"って呼んでくれないの?」 「うっ…」 これだ。俺は千恵さんのこの捨てられた子犬のような声が苦手だ。 この声でお願いされるとどんな事でもやってしまいたくなる。しかも本人は無意識でやっているのだから俺にはなすすべがない。 「か…母さん、淳也にかわります」 なんだか、気恥ずかしくすぐに淳也にかわる。 「はい。お電話かわりました。私は竜ヶ崎淳也と申します」 …驚いた。電話に出た淳也の雰囲気がいつもと全く違っていて。一瞬、誰?と思ってしまうほど。金に染めてふわっとした淳也の髪。何個もつけてるピアス。一見してチャラいと言われるだろう淳也のイメージが口調一つでこんなに変わるなんて思わなかった。
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