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「えぇ、そうですね。…はい、好きです。」
本当に何の話をしているんだろう?
いつも漏れ出てる千恵さんの声が今は全く聞こえないから、想像がつかなくて少し怖い。
けど千恵さんが何か悪いことを淳也に言うことはないはずだ。それは盲目的な自信。理由なんてない。だが、信じられる。
「…ありがとうございます。会長にかわりますね」
急に俺に電話が渡される。淳也はどこか嬉しそうな顔をしていた。何を言われたんだ、本当に。
「…もしもし?」
「あ、しぃ君?良い友達ね」
「…はい、俺の自慢です」
俺の自慢は俊さんに千恵さん…そして本人には言わないけど最近では淳也が友達だということも自慢だ。
「ふふっ。それじゃ夏休みには淳也君も家に連れて帰ってきてね」
「えっ!?いいんですか?」
「いいわよー淳也君だったら大歓迎」
「あ、ですが淳也に聞かないと…まだ解りませんね」
「そうね。楽しみね」
「はい!」
「それじゃ、そろそろ淳也君を待たせても悪いから切るわね。また電話するわ」
「はい。ありがとうございます」
そして切れる電話。
多分自分の名前が出てきたことに驚いているんだろう。淳也が不思議そうに俺を見るから俺は笑って答えた。
「あのな、良かったら、夏休み…家に遊びに来ないか?…って千恵さんと話していたんだが…」
「会長の家?」
「い、嫌なら別にいいんだが。…ダメか?」
あぁ、どうしよう。勝手に舞い上がっていた。淳也は俺がこの学園に来て始めて出来た友達だ…と思う。いや、思いたい。淳也が友達て思っていなかったら…いやでも…いや…
「会長~、そんな心配しなくても友達だから。俺的には次のステップに進みたいけど」
「な、何で…」
「何で分かったかって、会長ってかなり分かりやすいよ?」
「そんな事、初めて言われた」
「そう?」
コクンと頷く。するとソファに座った淳也に頭を撫でられた。まぁ俺が床に座ってたから撫でやすいんだろうけど。何で床かっていうと、あれだ。癖だから仕方がない。
唐突だが俺は淳也に頭を撫でられるのが好きだ。頭を撫でるのも好きだが。
なんか癒やされる。俊さんや千恵さんとの電話の次に幸せな一時。
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