彼等

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「あ、飯食うか」 頭を撫でられてから何分くらいたつだろうか、30分…もしかしたら5分位かもしれない。無言でも幸せ。ずっとこうしてたいと思うほどに。 自分でも驚きだ。俺にこんなに気の許せる友達が出来るとは思っていなかった。 つい先週だ。淳也が仕事を再開して、俺と飯を食うようになったのは。 それで、こんなに淳也に気を許してるってヤバいと思う。淳也がいなくなったら俺どうするんだろうと。 でも、その考えは頭から無理やり振り払う。だってそんな先の事考えたくないから。 「会長、今日は何?」 とりあえず俺の目下の企みは淳也に会長ではなくて名前で呼んでもらうこと。あんまり自分の名前は好きではないけど…俊さんや千恵さんが綺麗だと言ってくれる名前だから、きっと淳也に呼んでもらったら、もっと仲良くなれる気がする。俺の初めての友達と。 「今日は、豚汁と豆ご飯とほうれん草のお浸しと鯖の味噌煮」 「おぉ。凄いね。いやぁ会長はきっといいお嫁さんになるよ」 「お嫁さんって俺は男だぞ?」 「んなこた知ってるさぁ。会長は可愛い男の子だよね」 「…淳也は眼科に行くべきだ」 えぇ~とかいう奴は無視だ無視。俺が可愛い筈はない!全く俺が可愛いというなら、世界中の皆さんが神レベルの可愛さだ。つまりは俺は可愛くない。 そんな卑屈な事を考えながら器にご飯をつぐ。淳也にはテーブルを台拭きで拭いてもらっている。 うん、淳也はいい旦那さんになりそうだな。 なんて思いながら、お盆に載せたご飯をリビングに運んだ。
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