1018人が本棚に入れています
本棚に追加
/85ページ
「三人で、ご飯食べよう」
「そうだな」
「あっ、僕手伝います」
「ありがとう。でも先に顔を洗っておいで」
「あっ、はい」
リビングから出て行った山田君を見て、淳也に声をかける。
「魚と味噌汁か。淳也ごめんな。やっぱ手伝ってくれ」
「あぁ、もちろん。俺は味噌溶けばいいか?」
「お願いします」
「ん、了解」
二人でエプロンを着てキッチンに並ぶ。
「わぁ…」
昨日漬けといた鯛の西京漬けを焼いているときに急に声がして振り向く。
「山田君どうした?」
「えっと、いえあの、お二人があまりにお似合いだったので」
「お似合い?」
「え、恋人同士じゃ?」
「恋人?」
恋人ってあの恋人?
俺と淳也が?
そう考えた時、首からかぁ~っと赤くなる。え?え?なんで?
そんな俺の頭を優しく撫でて、淳也は答えた。
「まだ、違うな」
じゅー
「あ、魚!!」
やばい。焦げる。急いでフライパンから皿に移す。ふぅセーフ。
「山田君も、ちょっと手伝ってくれるか?」
「は、はい!ありがとうございます」
「お礼はこっちだ、ありがとな山田君」
茶碗としゃもじを山田君に渡す。それから淳也を見ると、もう味噌汁をついでくれていた。
「ん?どうした?詩音」
「いや、さすがだなと」
「ククッ惚れたか?」
その言葉に台ふきを洗っていた手がとまる。
「冗談だ。あ、山田つぎおわったな」
「え?はい!!」
「詩音台ふきくれ」
「あ、あぁ、はい」
止まっていた手を慌てて動かして台ふきを絞って渡す。それから、お盆を出し山田君がついでくれたご飯と淳也のついでくれた味噌汁を乗せて運ぶ。
「山田君、お箸そこから三つ出してくれる?」
「あ、はい!!」
山田君に重いものは運ばせれないから、箸をお願いして、俺は他のおかずを運んだ。
最初のコメントを投稿しよう!