序章

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――あの時、君に出会わなかったら、どんなによかっただろう。 そんな事を何度も思った。 君に出会ってから大切な事をいろいろ教えてもらった。 “友達” “楽しい事” “人を想う気持ち” “ドキドキする感覚” でも、 “切ない” という感情だけは知りたくなかった―― 僕と君の出会いは、電車の中だった。 僕は高校前期入試の緊張で、電車酔いしてしまった。 そんな時、助けてくれたのは君だった。 ――――――・・・・・・ ―――――・・・・・・ うぅ。 緊張で吐き気が凄い。 「ねぇ、君大丈夫?」 突然、後ろに居た人から声をかけられた。 やっぱり気分悪そうに見えるんだ。 「だ、大丈夫です・・・」 と、心配かけないように答えた。 ヤバい。 喋ったら余計に気分が悪くなった。 『次は、〇〇駅。〇〇駅でございます』 次の駅を知らせるアナウンスが流れる。 まだ〇〇駅なんだ。 もちそうにないよ。 そんな事を考えていると、電車はさっきアナウンスで流れた駅に止まり、ドアが開いた。 その時だった。 誰かに手を引っ張られ、電車から出た。 一瞬、何が起きたのかわからなかった。
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