序章

3/6
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
手を引っ張って前を歩く人を見る。 あ、この人って、さっき声かけてきた人だ。 ちらっと後ろを振り返った時見た服、というか制服と同じ。 この人、学生? そんな事より、何で・・・? 「あ、あの・・・」 何も喋らずにスタスタとホームから出たので、声をかけてみた。 「あ、あぁ、ごめん。あまりにも気分悪そうだったからつい・・・」 あぁ、そういう事か。 確かに今でも気分は悪いけど、だからって・・・。 「大丈夫です」 次の電車に乗れば、まだ試験には間に合うはず。 余裕持って出てきたから。 僕は「ご心配おかけしてすみません。急いでいるんで」と手を引っ張ってきた男の人に言い、ホームに戻ろうとした。 だけど、 「行かせるわけいかないよ。心配だし」 と言われ、また手を引っ張られる。 「大丈夫ですから、離して下さい!!」 あまりにもしつこいから思わず、大きい声を出した。 うっ。 大きい声を出し過ぎて、更に気分が悪くなった。 「大丈夫!?」 心配して、声をかけてくれる。 だけど、あまりの気分の悪さに意識が遠退く。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!