17人が本棚に入れています
本棚に追加
───────
あれから私は毎日頭を悩ませている。
きっと伊東くんは私が断ってしまえば明里によからぬ手出しをするだろう…。
やっとのこと明里を身請けする金もたまり、今まさに長屋探しをしているというのに…。
私はたしかに今の隊に不満を覚えてはいた。
しかしだからと言ってあんな話に賛成できるわけもない。
だが…だが…。
私は部屋に置き去りにされていた薬を手に取り見てみる。
これさえ日取りを念入りに考えに考えぬいて二人に飲ませすれば…明里に危険が及ぶことはないだろう…。
しかしそれは彼等に対する裏切りだであると同時に二人の死を意味する。
もちろんそんなこと出来るわけがないしするつもりもない…だが…。
私は明里とまだ見ぬ自分の子を思い浮かべる。
そして再びしばらく考えた後、私は決心をする。
「すまない…すまない皆…私は…。」
私は立ち上がると屯所を出てある人物に会いに行くことにした…。
最初のコメントを投稿しよう!