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─翌日─
「山南さんが昨日から帰ってこない!?」
わたしは沖田さんの言葉に驚きを隠せずにいた。
「えぇ。おそらく脱走したと思われます。」
「なんでですか!?だって脱走したら切腹なんですよ!?」
「理由がわかっていればこんなに騒いでいませんよ。」
山南さんが脱走…。
突然の出来事に頭がついていかない。
ただ呆然としていると沖田さんは副長に呼ばれたようで真剣な面持ちでその場を去っていった。
わたしは山南さんの部屋に向かう。
障子を開ければそこは綺麗に整頓されていて刀だけが持ち去られたままだ。
その部屋を苦しい気持ちで見つめていると沖田さんが話終わったのか歩いているのを見つけた。
「沖田さん、副長達はなんて!?」
「私は今から山南さんを連れ戻しに出てきます。勝手な行動は謹んでくださいね?」
「わたしも連れて行ってください!!」
「駄目です。大人しく屯所で待っていてください。」
沖田さんは馬に股がるとわたしを無視してそのまま門まで行き屯所を出ていってしまった。
「なんで…どうして山南さん…。」
わたしは門の前で脱力して座り込む。
なにもする気がおきず、ただ力が抜けていくのだけを感じていた。
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