永遠(とわ)

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山南さんを追いかけて私は大津にやってきた。 観察の方たちが言うにはこちらの方角に向かったと町の人々に聞いたらしい。 できれば見つけたくない… 見つからないでほしい… そう思ったが私の願いは儚くも崩れ去った。 「やぁ総司。やっぱり私の考えていたとおりだったね。」 一瞬引き換えそうと馬ごと翻った瞬間、その声は私の背後から聞こえてきた。 「山南さん…どうして声をかけてきちゃったんですか…。」 「そういうお前こそ何故帰ろうとしてたんだい?私を連れ戻しに来たんだろう?」 振り返れば山南さんは一軒の宿の二階からこちらを見下ろしていた。 「そうです…けど…!」 「…とりあえず上がってくるといい。もう日もくれる…今日はここで休んでいこう。」 私は山南さんに言われるがままに宿に入る。 二階に上がるといつものように微笑みながら出迎えてくれる。
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