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先程の部屋を離れて二人に捕まれていた腕を放される。
「あゆらちゃーん?おめーさんいい加減にしないとまじで斬られるぜ?」
「ぱっつぁんの言う通りだぜ。まだ死にたかねぇだろうが?」
「だって…。」
「あと総司の野郎にはとうぶん山南さんの話題出すなよ。」
「たぶんあいつが一番辛いだろうな…兄貴みたいにしたってやがったのによ…。」
原田さんはぐずっと鼻水をすする。
そのまま『やべっ』とだけ言うと人影の少ない方へと去ってゆく。
「辛いのはお前だけじゃねぇんだ…俺達だって出来ることなら死んでほしくなんてねぇんだよ…。」
永倉さんは泣きそうな顔を見られるのが嫌なのか、わたしのことを僅かに震えるその身体で優しく抱き締めてくる。
「だからよ…これ以上は何も言わずに見届けてやってくれよ…頼むからさ…。」
そう…
わたしなんかより皆の方がきっともっと辛いんだ…。
わたしはまだ一年ないくらいに出会ってからの期間が短い。
けど他のみんなは…特に試衛館からのメンバーはもう何年も一緒にいるのにその一人が死んでしまう。
みんな冷静に話を聞いたりしてこそいるが、実際のところ今でも泣きたいはずなんだ…。
わたしは永倉さんにしがみつくと声を必死に押し殺して泣いた。
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