17人が本棚に入れています
本棚に追加
山南さんの介錯もすみ、切腹の儀が終わってからは普通にしていたが次の日、ストレスからきたのか熱をだしてぐったりしていた。
心配になって何度か様子を見に行ったりもしたが厠へ駆けていったかと思ったら嘔吐するなど、翌日の体調は最悪だった。
その翌日からは元気になったものの、山南さんに関することは何一つ目に入れず耳に入れずといった感じで、山南さんの死からは完全に目を背けているように見える。
きっと今日も目を背けつつも山南さんのことが忘れられなくて部屋を見に来たんだろうと思う。
「歩来さん?」
ぼーっと沖田さんを見ながらそんなことを考えていると不思議そうに顔を覗きこまれた。
「あ、はい!?甘味処ですよね?わたしも久々に行きたいなって思ってたとこなんです。行きましょう!」
思わず声をはって返事をしたわたしに沖田さんは僅かにだが驚いたようで、身体を反応させたがすぐに満面の笑みで早く行きましょうとわたしの手を引く。
いつもならこの状況に有頂天な気持ちで喜ぶのだが、今日は喜べるような気分でもなく複雑な気持ちで甘味処に向かう。
最初のコメントを投稿しよう!