降格

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―町中― 町は相変わらず賑わっているが、わたし達を見るなり不愉快そうな顔で睨み付けてくる人も相変わらずだ。 「相変わらず嫌われ者ですねぇ。」 「なに呑気に言ってるんですか。それでも新選組のいち組長ですか?」 「あはは。歩助さんは厳しいなぁ。」 沖田さんは真面目でよろしいと頭をくしゃっと撫でてくる。 こういう子供扱いするところもそろそろ直してほしい。 わたしは崩れた髪型を軽く直す。 一通り町を回って昼頃、とくに何もなく無事に巡察を終った。 門をくぐりとりあえず自室に戻る途中、ある一室から怒鳴り声が聞こえた。 「ふざけるのも大概にしていただきたい!!貴方はっ…!!とにかく、私はそんなふざけた考えになど乗るつもりはない!!」 その声は信じがたいが山南さんの部屋の方から聞こえてきた。 わたしは気になり山南さんの部屋へと向かう。 すると部屋から怒りに身体を震わせた山南さんが今までに見たこともないような形相で出てきた。 部屋の中には他に伊東さんの姿が見える。 山南さんはわたしに気がつくとはっとした顔をしてすぐに苦しそうな笑みを浮かべる。 「や、やぁ歩来…じゃなくて歩助くん。もう巡察は終わったのかい?」 「はい…さっきすごい怒鳴り声が聞こえたから気になって…どうしたんですか?」 「それは…。」 山南さんは黙って俯く。 「いささか議論が熱くなってしまっただけですよ歩助殿。では山南殿、私はこれにて…。それと先程の話ですが、気が変わられてよい返事をお待ちしてますよ。」 伊東さんはでは、と部屋を出て帰って行く。 「山南さん…。」 わたしは凄い不安に心臓が脈を早くうつのを感じながら、しばらく山南さんと二人で立ち尽くしていた。
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