降格

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沖田さんはわたしの口端に指をやって笑って笑ってと笑顔で言う。 「…そうですね…。わたしも誰かが泣いてたりする顔より笑顔でいる方が好きです。だって悲しくなってくるもの。」 「でしょう?だからね、そんなに沈んでいないで元気出してください。そしたらきっと山南さんも元気になりますよ。それに歩来さんの笑顔を見てると私も元気になりますから。」 「はい!」 わたしは益々沖田さんを好きになっていくような気がした。 時々腹が立つこともあるけど、この人のこの笑顔がわたしは大好きだ。 だからわたしの笑顔でこの人が元気でいられるなら迷うことなく笑顔でいよう。 山南さんもきっと元気になってくれると信じて笑顔で待ち続けよう。 だって誰かが笑って迎えてくれることはとても嬉しいから。 ―二月十日― このわずか十と三日後に待ち受けている悲しく辛い出来事を、わたし達はまだ知らない…。
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