序章

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昨夜から降り続けた雪は、すっかり大坂、石田屋敷を、真っ白に染めていた。 慶長4年(1599年)。2月。 玄関を出る、この屋敷の主人、石田三成を、家臣、島左近が呼び止める。 「こんな朝っぱらから、どこまで行くんです?」 59歳、酒焼けした頬に、不精髭を生やして、左近は親子程も歳の離れた主人、三成の背中に話し掛ける。 39歳、ピンっと伸ばした背筋を横に曲げて、三成は振り返る。
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