序章

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じっと庭先にある、枯れ井戸を睨んでいる。 不味い、と思う。 その井戸、先日三成が、掘り返す様指示したばかりなのに、今朝は削窟道具もそのままに、誰もいない。 「どうして誰も作業をして、いないのですか?」 三成の問いに、左近は思わず目を泳がせる。 こんな寒い日に仕事をするのは、へそ曲がりくらいだろう、と言いたいが、仮にも主人である。 そこはわきまえる。
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