364人が本棚に入れています
本棚に追加
その列の後ろ、漆黒の兜に、太閤殿下より戴いた金箔まぶした陣羽織を着た武将が、一人。
檻の中の熊の様に、グルグルと、馬を歩かせている。
加藤清正。
肉付きの良い大きな体を震わし、チラチラと玄関を睨んでいる。
頬についた「三」の字の傷は、朝鮮出兵の際、村に出る、人食い虎を、退治した時についた物である。
浅黒い顔の真ん中に、目鼻口の集まった、子狸の様な顔をした武将が、同じく馬上、清正に近付く。
黒田長政。
前章で出た、三成の上司、浅野長政と同じ『長政』になる為、作中では次より黒田長政をその役職から『甲斐守』と書く。
最初のコメントを投稿しよう!