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ドスの効いた声に振り替える。
眼光鋭く。頬まで伸びたモミアゲを黒々と、福島正則が馬上から呼び掛ける。
「兄貴、何を躊躇する?
あの色白優男には、高台院様の存在なんぞ、頭にないってこったろ?」
「お主はただ、三成の首を斬りたいだけなんだろう?」
付き合いの長い清正は、溜め息まじりに吐き捨てる。
正則、ガハハと笑う。
「ご名答。俺ぁ偉そうなアイツが大っ嫌いなのよ」
側で聞いていた甲斐守も背中を丸め、意味なく正則に合わせて笑う。
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