不幸という名の序章・1

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「あぁ……どうしてなのでしょうね?」 一人、ポツリと呟いた青年――レオン・グレイシスは案外、不幸だったりする。 物心付く時には孤児院に居て、両親の顔も素性も知らない。 16を過ぎ、施設を出て2年。 今年で18になる。 目的も無く、自由気ままな旅を続けてはいるものの、何かとトラブルに巻き込まれがちだった。 とある町で宿を取れば、オンボロだし、 少し買い物をしようとすれば、泥棒と間違われることもしばしば。 怒っている訳では無いのに目つきが恐いとかで、女の子にはモテないが、ゴロツキからはよく声をかけられる。 何も幸せな順風満帆な生活がしたいとは言わない。 そんな贅沢は我慢しよう。 ただ、俺の人生、運が無い。 つくづく思う。 現に今だって不幸満喫中だ。 取り合えず金を工面しようと、近くの村の依頼所から受けた仕事をこなそうとしている訳だ。 内容は遺跡などに生息する魔物・ゴーレムの胸にあるコア部品、魔導玉(まどうぎょく)を一つ取って来るというもの。 どこぞの魔導師達が粗末に、かつ大量に破棄した魔導玉が周囲のマナと干渉し、在り合わせの素材で造り出された自律式魔導人形。 それは森で良く見かける、野生動物が魔物化した狼型のウルフや猪型のボアなんかより強いが、所詮その程度。 別に強敵で戦いたくないってことでは無いのだ。 何が不幸って、
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