不幸という名の序章・2

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案外、落ちる時間は短かった。 距離にして、数メートル位だろうか? と、ひんやりとした床に大の字で仰向けになりながら思う。 全身に痛みが走るが、腕も脚も動く……骨は折れている訳では無い様だ。 唇を切ったのか血の味がしたが、吐血は無い。 内臓も無事らしい。 「あ~~くっそ。俺の人生、こんなのでいいのか?」 距離は短い、といっても落下したのだ。 着地が悪ければ、骨折など大怪我をしていたし、頭からならその場で即死していたのかもしれない。 不幸中の幸い、 なんて言葉があるがレオンは素直に喜べない。 何故なら、 不幸の中で小さな幸せを見つけても、 大きな不幸には変わらないのだから。
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