不幸という名の序章・2

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「……そして、お先どころか、前後左右。ついでに上下も真っ暗ってか……。まぁ、関わっちゃいけなさそうなものはあるけど」 体を起こし、周囲を確認しようとするが、松明など明かりになるようなものは何も無い。 ただ、白の淡い光がぼんやりと一つあるだけだ。 こんな状況で下手に動けば更なる不幸、不幸スパイラルに陥る可能性大だが、動かないのもそれはそれで、 孤独死という不幸。 取り合えず、自分の周りに何か無いか手探りで探ってみる。 床は案外にも、つるつるとしていた。 ひんやりとしたその上に、小石一つも転がっていなさそうだ。 それでも、しばらく探り続けると何か硬いものに触れた。 「これは……っと?」 それを引き寄せ、恐る恐る確かめてみると、長細い形をしている。 長さ、重さ、質感。 それらに馴染みがあるのは当然なはずだ。 ロングソード。 さきほどの無茶な使い方のせいで刃が欠けてしまっているが現在の唯一の武装だ。 「まったく、何か憑いてるのかねぇ俺は」 刀剣としての用途ではないが、ロングソードを杖代わりにして足元を確認しながら淡く光るものに向かう。 絶対、絶対何か不吉なことが起きるぞ……! っと内心、ビビリまくりながらゆっくりと着実に進む。 空いてる方の手は前に壁や柱などが無いかを確かめるのを忘れない。
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