始まりと終わりと、そして、始まり

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私達の見守る中で、マウスの動きは次第に緩慢になり、最後は動かなくなった。 それから暫く様子を見ていると、その小さな体が溶け出していく。細胞が死滅しているのだろう。 成功したのだ。 私達は抱き合って喜んだ。 しかし、ゆっくり喜び合う暇はない。今ある材料で、出来る限りの薬を作らなければ。 その後、政府の研究機関に資料を持っていく。そこでなら、各地に広がったゾンビに対して十分なワクチンを作る事が出来るだろう。 それに、私の考えが正しければ、経口でも効果がある筈だった。要は体内に入りさえすれば良いのだ。 ワクチンが出来ると、ジェシカとサムに渡す。 しかし、数は限られている。 私はワクチンを自分に打った。二人は反対したが、ワクチンを増やす必要があったのだ。これで、多少は薄まったとしても、私の血液もワクチンと同じ効果を持つ筈だ。 私は目を閉じて待った。 ワクチンが身体の隅々まで行き渡り、吸収されるのを。 そして自分の血液を抜き取り、ワクチンとして何本か用意すると、ゾンビ達と対峙したのだ。 どうやってラボを出たのか分からない。 ただ必死だった。 ワクチンにより、ただの死肉となったゾンビの肉を、まだ動いているゾンビの口に突っ込んだりした。 死への冒涜だなんて言わないでくれ。 言い訳でしかないが、彼らの魂はとっくにその肉体から離れているのだから。 それに私達は、生き延びるのに必死だったのだから。
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