スクラップ・ドール

始まりと終わりと、そして、始まり

ふと、笑みが零れた。

木漏れ日が心地好い。

キラキラと、クスクスと、囁くように光が瞼（まぶた）の裏を擽（くすぐ）る。

背中に、夜露に濡れた初々しい若草の、柔らかな感触が心地好かった。雫が背中を濡らすが、それすらも心地好いのだ。

こんなにも生を実感したのは何時以来だろう。

私は閉じた目を開きたくなかった。

目を開けば、全身に感じる生は解（ほど）け、視界から受ける刺激に束縛される事が分かっていたからだ。

近くで人の気配がする。

ジェシカとサムだろう。ジェシカの泣き声が聞こえた。

どうしたんだろう？

私は気になり、嫌々ながらも、その目を開こうとした。