始まりと終わりと、そして、始まり

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それは感染力がとても強く、爆発的に広がっていった。 奴らは、今では人間よりも多いだろう。 皮肉なものだ。死なない肉体の筈が、動く死体を作り出してしまうとは。 奴らを倒すには、脳を破壊するくらいしか方法はなかった。 自分の持っている銃に視線を落とす。護身用の小さな銃で、弾も残り僅かだ。これまでは奇跡的に生き延びてきたが、私はもう駄目かも知れない……。 そんな諦めが、脳裏を過ぎる。 戦争に荷担するような研究をしたのだから、私やボブ、チームのみんなは当然の報いだろう。 チームで生き残ったのは私一人だった。 それを指示した上の人間も同じだ。だが、彼らは上手く逃げ果(おお)せているのではないだろうか。どんな時も、権力を持つ人間は生き延びるのだ。 しかし、何も知らない民間人はどうだろう。彼らは戦争に翻弄され、意味もなく命を奪われている。 今回も、何故こんな事が起こったのか何も知らず、知らされず死んでいくのだ。 その事に考えが至ると、諦めてはいけないという思いに駆られた。 それよりも、何か打開策が無いかを考えるべきなのだ。 そこに、ある考えが閃く。 私が作った薬だ。ワクチンも作れるのではないか。 勿論、自分一人で作った訳ではないが、ラボに行けば資料が残っている筈だ。 それを基に、ワクチンを作れば……! 問題は、ラボに無事、辿り着けるかだった。そしてワクチンが出来るまで、襲われないか。 考えていても仕方ない。 どうしても行かなければならない。ワクチンを作らなければ、ならないのだ。 私は覚悟を決め、周囲を窺いながらラボへと向かうのだった。
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