十二

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「…やだ」 我が儘だって分かってる。 なのに、ほとんど無意識で言ってしまった。 こんなこと言ったら課長は悩んでしまうのに。 でもね、本当に傍にいたいんだ。 「やだって…」 「なんでもない」 課長のキスは少し乱暴で、さようならと言ってるみたいだ。 「今、実際少し喜んでますけどね」 そうやって優しい笑顔を向けないで欲しい。 「いってらっしゃい、課長」 「……ありがとう」 最後は、絶対名前で呼びたい。 課長には課長らしく頑張って欲しいから、我が儘なんてダメなんだ。
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