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絶対会おうなって兄貴と約束した。俺はそれだけを毎日楽しみにしていた。けれど、何日待っても兄貴から連絡は来なかった。
最初のうちは忙しいのだろう、などと色々理由をつけて自分を納得させていたけれど、とうとう待つことを止めた。
別々に暮らし始めてから、二ヶ月が経っていた。季節は夏に変わっていた。
「じゃあ日向、行ってきます」
「はーい、行ってらっしゃーい」
母さんは働き始めた。朝の九時に出て行って、夜の七時くらいには帰ってくる。販売員のパートだそうだ。
「あっつ……」
蝉の声がうるさい。
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