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「離婚、だって」
兄貴がそう言ったのは、俺が六年生に上がって二ヶ月経った、梅雨時の午後。
いつも優しそうに笑っていた兄貴の、無表情なところを始めて見た日だ。
「俺とひな、別々になるって。今それを話し合ってるらしいけど、多分俺が親父んとこで、ひなは母さんとこだって」
とうとうこの日が来たんだな、と思った。何となく予感はしていたのだ。
二人も面倒を見るのは両親どちらも厳しいから、きっと別々に引き取られるだろうと。
「……お兄ちゃんには会えるよね? 俺、会ってもいいんだよね?」
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