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「うん。俺は母さんとひなに会いにいつでも行っていいんだって」
「そっか……お父さんは?」
「親父からは会いに来れないって。もしひなが父さんに会いたいなら会ってもいいらしいけど」
俺は首を横に振った。正直、もう会いたいと思わなかった。
子ども部屋も、もう無くなってしまうんだな。そう思って、部屋の中を見渡した。
「母さんのこと、頼んだぞ」
ぽん、と頭に手を乗せていつもと同じ様に兄貴は笑った。俺は泣くのを必死で堪えていたと思う。
その二週間後に離婚調停がまとまり、俺と母さんは今のマンションに引っ越した。
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