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もう彼は、俺の知っている優しいお兄ちゃん、では無かった。
「そんな目で見んじゃねぇよ……!」
「ぐっ、ゲホ、うぇ……っ」
鳩尾を蹴られた。軽い俺の体は簡単に転がり、その場で吐き気に襲われる。
その俺の前髪を鷲掴みにし、兄貴はこう言った。
「いいか、俺はお前ら親子を許さない。いつか今日以上の痛みを、お前らに味わってもらう」
「お、にい……ちゃ」
玄関へ向かう兄貴を止めようと手を伸ばした時だった。チャイムが鳴る。母が帰ってきたのだ。
「待って……お母さん、開けないで。お兄ちゃんやめて!」
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