鉄の掟

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土方からの芹沢に対する胸の内を聞いた小春はそのことについて思案しながら、眠っている土方を見つめていた。 酒の力もあったのだろうが、滅多に自分の悩みや考えを口に出さない土方の弱音とも言える言葉を聞けて、不謹慎ながらも少し嬉しいと感じていた小春。 しかしその気持ちとともに、彼女は複雑な思いを抱えていた。 『正当なやり方はもう通用しねぇ。それじゃあ、だめなんだよ』 土方からその言葉を聞いたとき、確かにその通りだな、と思った。 正当なやり方で芹沢の狼藉を止めるのは、小春自身、無理なのではないかと薄々感じていたからだ。 話し合いで解決する相手なら山南が説得に行けば事足りる。 仲間に加えられる相手なら近藤の人の好さを見ただけで仲間になっていたはずだ。 芹沢を説得することも、仲間にすることもできない。もちろん芹沢は実力も高く、権力もある。力で制するのも、不可能に近いだろう。 正当な方法、では。 そこまで考えて、小春は小さくため息をついた。 自分の手に重ねられている土方の大きな手をそっと持ち上げると、起こさないよう丁寧に扱いながら、布団の中へ入れる。 「歳さん、あたしは……」
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