眠りの夜と目覚めの朝

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 「さて、まずは何から聞きたい? 君のこれまでの経緯か、とりあえず大まかな歴史の流れか。」  「えっ、あ、じゃあとりあえず歴史の方で。」 『悪魔のような天使の涙』とやらに気を取られ、おっさんの質問をほぼ聞いていなかった訳だが、とりあえず歴史って聞こえたから適当に答えておいた。 ごめん、おっさん。 コレが何なのか分かるまで俺、アンタの話は理解出来そうにないわ。  「うーん、やっぱ2000年代からの方が良いよな……。」 さっきから思ってたけどこのおっさん独り言の時は若者っぽい口調だよな。 ……意外に若いのかもしれない。 しっかしコレ一体何なんだかな。 少し顔を近付け、臭いを嗅いでみる。 ツン、とくる刺激。 だが、どっか慣れ親しんだ感じがする。 そう、例えば炭酸系の………。  「………。」 炭酸系の、黒い、液体。 ストローから少しだけ口に含んでみる。 甘い、けど、爽やかなこの感じは……!!  「いや、でも2010から……、だが、2000年代のいつ頃死んだのかが……」  「コーラじゃねえか! なんだよ、『悪魔のような天使の涙』って!! 厨二か!!」 俺は思わず叫んだ。 ちょっとビビるおっさん。 他の研究員グループは自分達の雑談に夢中になっているが、一番近くの3人組が一斉に吹き出したのを俺は見た。 正直すまんかったと思ってる。
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