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「あ、コンちゃん! 車で待ってるとか言ってた癖に!!」
最後に花梨の乗った車を見送った俺を、プリプリ怒りながら車の鍵をチャラつかせた母さんが迎えに来た。
車発進させてくればいいのに。
「で、どんな説明受けたの?」
俺が歩み寄りつつ訊くと、母さんは通り過ぎていた家の車の鍵を開け、乗り込んだ。
俺も助手席に乗り、シートベルトを締める。
「うーんとねえ……」
車を発進させてから、数分間に渡ってされたザッとした説明は、
・制服は無償で支給される事
・説明はしておくが、格好が格好なので、一応しばらくの間は男子トイレを使って欲しい旨
・もし、弊害が出たら自己解決で四苦八苦するよりも、相談する事
――だった。
母さんはまだ納得いかないようで、ぶちぶちと愚痴を零す。
「もー、勝手に決めちゃって。 折角、女子の多い学校に入れたのに。」
「まー、まー、いいじゃんか。 女子に囲まれようがこの性格は変わんねえよ。」
むしろハーレムが始まりそうでオラ、ワクワクすっぞ。
「――それに、俺に女子でいる意味はないからな。」
開けた窓の桟で頬杖をつきながらそう言うと、母さんは真顔で言った。
「その意味の有る無しで計る損得勘定やめな。 嫌われるよ。」
嫌われる、ね。
「それが何だ。 全ての人に好かれようなんて、もう思っちゃいないさ。」
………もう、な。
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