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巫女姫の儀式は、ほぼ半日を犠牲にして執り行われた。夕鶴の貴重な日曜日は、そんな意味の分からないもので潰れたのだ。
そして朝早く、浮遊霊に起こされた自分は昨日同様不機嫌で。昨日は特に疲れたのだから、もう少し寝ていたい。
それでも学校に行かなくてはいけないと思うと、どうしようもなく嫌になる。
「煩いわね、もう。仕方ないか」
浮遊霊はまるで母親のように叱り、時に励ましてくれる大切な家族。
そんな彼らに行けと急かされたら、夕鶴は行くしか選択肢がなくなってしまう。
紺のブレザーに、薄い青のポロシャツには青いチェック柄のネクタイをつける。
黒色のスカートを着終えると、自分は小さく欠伸をした。
母親代わりの浮遊霊だが、流石に料理は作れない。だからいつも自分が作る。
面倒だから昨日炊いたご飯と作ったお味噌汁だけにして、もさもさ食べる。
叉玖には犬用のドックフードと薄めた牛乳。これだけ見ると完全に犬みたいに見えるから不思議で。
「美味しい?」
『ミ』
口にあわないらしい。ドックフードは嫌いなのか。これからは手の込んだ食事にしなくてはいけない。
「朝はドックフードで我慢してね」
『ニー』
返事をしてから牛乳を飲み始める叉玖。見ているだけでも凄く和む。
朝食が終わったら後は身嗜みだけ。髪を結わなくてはいけない。立ち上がって食器を片付けたら、そのまま洗面所へ。
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