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わめき声が辺りを満たしていた
あー だの うー だのやかましく杉山の安眠を妨害していた
携帯を開くと着信在りの表示
相手は杉山の親友である熊谷だった
朝と呼ぶには若干早い時間に珍しい着信
何事かと杉山はトイレに向かいながら携帯を操作する
しかし繋がらない
呼び出しすらしない断続的なコールが鳴るだけであった
電波が悪いのかと杉山は排泄をすませてベランダに出た
月明かりが彼のブリーフ一枚の姿を照らす
またしても断続的なコールをするだけ
とりあえずは服を着て受信メールを確認すると
熊谷から助けを求める内容が10件はあり
ことが緊急であることを理解する眠気などは一気に消し飛び慌ててテレビをつける
「世界の終末...?」
誰にいうでもなく杉山の口から言葉が漏れた
テレビに映っていたのは死者の群れで
まるでB級ホラーのように辺りを気ままに歩き回っている
これに応戦するように警官隊が発砲し
市民はただ逃げ惑うだけである
どうやら杉山が寝ている間に世界は大きく変わり果てたようであった
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