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綾子はすぐに返事が出来なかった。心の準備がまだ出来ていない。
何で急に? まだ二週間あるじゃないか。
「どうしたの?」
美紀は綾子の態度を不審に思ったのか、少し顔が曇った。
「ううん。何でもない。急に言われたからびっくりしちゃった」
「それでね、告白の仕方なんだけど、直接会って言った方がいいのかな?」美紀は恥ずかしがりながらもじもじしている。「やっぱり恥ずかしいし、メールとかじゃダメかな?」
綾子はパニックになっていた。なかなか美紀の問いかけに答えることが出来ない。
「ねえ、どうしたらいいと思う?」
「ちょっと待ってよ。そんな急に告白することもないんじゃない? まだ二週間あるでしょ」
「もしかしたら残りの日、一緒に過ごせるかもしれないじゃん」
「でも……」
「あ、もし上原君と付き合えても綾子とは毎日遊ぶからね」
心底楽しそうにしている美紀を見ているとますます言い出せなくなった。
「やっぱり直接会って告白した方がいいよね。相手の顔見てる方が気持ちが伝わると思うし」
早く言わなきゃ。上原には彼女がいるって。それはあたしだって。
「あー、緊張してきた。ねえ綾子、ついて来てくれるよね。綾子がいれば、ちゃんと告白できそうだもん」
言わなきゃ。今まで隠してきたんだって。
「そうだ。告白の言葉一緒に考えてよ。ちゃんとリハーサルしなきゃ、頭真っ白になったら困るもんね」
言わなきゃ。自分の一番の親友を裏切ったんだって。
言わなきゃ……。
言わなきゃ……。
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