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「いつ引っ越すの?」
綾子は少しでも長く美紀といたかった。小学校の頃からの一番の親友で、高校も同じ所に行くつもりだった。それなのに急に引っ越すなんて信じられなかった。
「二学期からだって。夏休みが終わったら引っ越すの」
「美紀もついて行かなきゃいけないの? 今時単身赴任だってあるじゃん」
「よく分かんない。あたしが決められることじゃないし」
「でもあと半年だよ。せめて中学卒業してからでいいじゃん」
「あたしもそう言ったよ。でも、どうせ引っ越すんだったら高校に入る前に馴染んでた方がいいって。今さら転校なんてして馴染めるわけないのに」
美紀の親の言うことも分からなくはないが、結局は自分の都合じゃないかと腹が立った。
「そうだ。美紀だけ残ったらいいじゃん。あたしの部屋だったら大丈夫だよ」
美紀はよく綾子の家に泊まりに来る。その時は二人で綾子の部屋で寝ていて、特に不自由は感じない。これはいいアイディアだと自分のことを褒めたくなった。
「あたしもそうしたいけど……。さすがにおばちゃんたちに悪いじゃん」
「お母さんだったら平気だよ。あたしが説得する」
美紀はじっと考えている。もうひと押しすれば、綾子の提案に乗ってくれると思った。
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