始まり

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京はいつもの帰り道を歩いていた 「さみぃ……」 京はかじかんだ手に息をかけながら足を家へと進めていた しかし京はふと公園の前で足を止めた 珍しいな……夜遅くしかもこんな寒い時期に露店なんて…… 公園の前で朝には見掛けなかった露店を見かけた京は足をそちらの方へと進めた 京はその露店に出ている物を見回した この本…… 京は無意識の内に露店に出ていた古びた本を手にとった 「“blue the world”青い世界」 露店を出していた男がいきなり京に声を掛けてきた 京はハッっとして視線を本からその男へと向けた 「すっすみません」 京は手に持っていた本を置こうとした その男はニコッと京に笑顔を向けながら喋りかけた 「少年 よければその本あげるよ」 「えっ」 「少年にならその本譲ってもいいわ ついでにこれもつけたる」 男は剣のアクセサリーを手にとると京に向けて投げた 京は慌ててそのアクセサリーを手にとった 「あのお金は…」 京はおそるおそる男に聞いた 男は黒い長く束ねた髪を解きながら翡翠色の目を細めて笑いながら言った 「いいよ それは少年にプレゼントするよ」 「えっでも……」 「いいから 大切にしてやってよ少年」 「あっありがとうございます」 京は男に頭を下げ本とアクセサリーを手に持ちその場を離れた 「またな 少年 いや……月詠 京」 「えっ」 京は男のその声を聞いて振り返った しかしそこには男も露店もなくなっていた…… 「夢……じゃないよな」 京は自分の手にある本とアクセサリーを見つめながら呟き帰路についた……
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