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カップラーメンがなくなった事によって、女の人の顔がはっきり見えるようになった。
俺を睨みつけるように見つめる目。
綺麗な顔だけに、ちょっと迫力がある。
そして俺の前から離れると、スタスタと歩いていく。
えっそこって。
俺たちの家の反対側。
そのドアの前でショルダーバックを漁る女の人。
両手の袋が邪魔らしく、乱暴に床に置くと、またカップラーメンが散らばる。
ショルダーバックから鍵を取り出し、またカップラーメンを抱えて中に入っていく。
俺は困惑したまま、カップラーメンを抱えている。
頭をフル回転させて考える。
…つまり、お向かいさんって…こと…だよね?
…すっごい恥ずかしいのは…俺だけ…だよね~
あっ出てきた。
再び出てきた彼女の手には、箱。
俺が持っているカップラーメンの変わりに、その箱を渡される。
『今日からお向かいに引っ越してきた者です
一切関わることはないと思いますが、よろしくお願いします。
それ一応、生物(なまもの)ですので、早く食べてください。
あと、そこに置いてあるカップラーメンも、よかったらどうぞ』
また睨まれる。
けどそれをちょっと、可愛いと思ってしまう。
俺って…変態?
「勘違い男」
日本語だ。
今なんて言ったの?
捨て台詞のように言って、中に入っていく。
…さてこの気持ちとカップラーメンどうしようか?
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