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その日、土方は1人市中見回りをしていた。
煙草を吹かしながら歩いていると背中をドン!と叩かれむせる。
「ゴホッ…だ、誰だぁ!?」
眉を寄せ刀にチャッと手を掛けながら振り向くとそこには…。
「よっ!見回りかぁ?ご苦労さん!」
銀時だった。軽く手を上げて土方を笑って見ている。
「…!ぎん…万事屋…。」
突然の恋人の出現に動揺を隠せない土方。
「前に歩いてんの見えたから…声掛けちゃ…迷惑だったか?」
ちょっと寂しそうに言う銀時に土方が慌てて首を振った。
「い、いや…驚いただけだ…。」
そう言ってぎこちなく笑う。
「…そっか。でも仕事の邪魔しちゃ悪ぃから行くわ。」
そう言って隣を通り過ぎようとする銀時の手を掴む。
ハッとして振り向くと土方がパッと手を離した。
「あ…悪ぃ…。」
土方はそう言って顔を逸らした。銀時は困ったように笑うと自分から土方の手を取った。
「……!」
土方が赤くなり銀時を見る。
「…嫌なら離すけど?」
そう言って握った手を緩め、離そうとする銀時の手を土方は戸惑いながらもグッと握った。
「…嫌な訳…ねぇだろ…。」
顔は見ないでそう言う土方に苦笑する銀時。
暫くそのまま歩く。
「多串く~ん…俺、腹減った。」
土方がため息をつく。
「しょーがねぇな…ちょっと早いが…昼飯にするか。」
そう言うと近くのファミレスに向かう。
そこでお互い昼食を済ませ銀時はデザートのパフェを食べ土方はコーヒーを飲んでいた。
暫くすると女店員が来て…。
「コーヒーのおかわり如何ですか?」
女の店員が土方に言うと土方は黙ってカップを差し出した。
女はチラチラと土方を見ながらコーヒーを注ぐ。
「………」
銀時は女が土方に気があるのだとすぐ察した。いや、この女だけでなく店に居る女が皆、土方を見ているように感じた。
「ごゆっくりどうぞ!」
女がにっこり笑うが土方は軽く会釈しただけで表情1つ変えなかった。
銀時はそれを見て苦笑する。
「お前…もうちょい愛想よく出来ねぇの?あのお姉ちゃん…お前に気があるぜ?」
銀時にそう言われても別に気にした様子もなく…。
「興味ねぇよ…。」
そう言うと新しく注がれたコーヒーを飲む。
「勿体ないねぇ…結構可愛いお姉ちゃんだったのに。」
銀時が茶化す。
「興味ねぇって…それに…お前の方が…。」
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