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成瀬が受話器を下すか下さないかのタイミングで、
すぐさま相場が電話を持ち上げる。
「技研の相場です。そちらにうちの早瀬はお邪魔して何時ころ出ましたか?」
外注先に連絡を入れている。
社長…今回は下心許すから…のんびり早瀬とお茶飲んでてくんないかな…
ぼんやりしていた頭が一気に覚醒する。
「はい…ありがとうございました。」
相場が力を落とした声で受話器を下すと、
「今から20分前に出ているそうです。」
はぁ…20分前…逆算すると、ちょうどトンネル辺りで…
もうじき会社に着く頃って事か…
いてもたってもいられずに、
事務所を飛び出した。
寒いとか…頭が痛いとか…そんなのは一気に吹き飛んだ。
頼むからそこにいて…
駐車場には、早瀬の使っている乗りやすそうな小型のリッターカーだけが無かった。
普段の大きい車より乗りやすいだろうと、空きを確認して選んだから、
早瀬が乗っていった車が無いのは一目瞭然だった。
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