トカゲ

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ある日トカゲが僕に笑いかけた。 「フフッ」 とこちらを見て笑った。 最初は誰が笑ったか分からなくて、辺りを見回してたら、 「鼻に付いてるよ。」 とトカゲが僕を見てた。 「え?」 「鼻に絵の具、付いてるよ。」 「あ、ホントだ。」 「素敵な絵ね。」 「分かるの?」 「あなたのように、素敵よ。」 口説かれてしまった。 トカゲの舌や尻尾が誘うように、チョロチョロとする。 「けれど、まだまだね。」 トカゲはデレツンだった。 「もっと素敵な絵が描ける方法があるわよ。」 「え?」 「私を食べてごらん。」 トカゲが僕を見てる。 誘うように僕を見てる。 「さあ」 チョロリと舌を滑って僕の喉に胃に入り込む。 トカゲは喘ぐような声を漏らしながら飲み込まれた。 僕が描いた絵は大きな賞を貰っていた。 トカゲは正直者な変態だった。
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