1人が本棚に入れています
本棚に追加
「オ、」
初めて言葉を発した魔王に4人は僅かに身構える。
中心の男が静かに4人に警戒を促す。
「油断はするな……何が来ても回避に徹しろ。当たれば何が起こるか分からんぞ」
次の瞬間
魔王が咆哮した。
「オォォォオオオォォオォオオオオォォォォオオォォォ!!!」
ビリビリと四人の体に振動の波が押し寄せる。余裕を見せていたはずのその顔には、今は不吉な何かが含まれていた。
「人、間共……!無様だろう、今の我が姿はッ!この傷さえ無ければ貴様らを、一滴も残さず、枯らして、やれるのにッ!」
苦しみのせいか、言葉の節々に亀裂が入る。
「我が、体は、すでに限界に、近かった!拙い貴様らの攻撃でも、倒せてしまうほどになッ……!」
その言葉に4人の中心にいる人間は言い知れぬ不安を抱いた。
(魔界の幹部レベルすら一掃する攻撃の猛襲が、拙い……?)
「私は、もう、間もなく果てる。非常に不本意だが、間接的にも我を、倒すことになる人間よ、貴様らの名を、聞いて、おこう……」
4人の中の一人が僅かな間をおいて答える。
「私の名は――
――であり、貴様を討つ人間、『勇者』だ。」
最初のコメントを投稿しよう!