手記0, 魔王没す

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「オ、」 初めて言葉を発した魔王に4人は僅かに身構える。 中心の男が静かに4人に警戒を促す。 「油断はするな……何が来ても回避に徹しろ。当たれば何が起こるか分からんぞ」 次の瞬間 魔王が咆哮した。 「オォォォオオオォォオォオオオオォォォォオオォォォ!!!」 ビリビリと四人の体に振動の波が押し寄せる。余裕を見せていたはずのその顔には、今は不吉な何かが含まれていた。 「人、間共……!無様だろう、今の我が姿はッ!この傷さえ無ければ貴様らを、一滴も残さず、枯らして、やれるのにッ!」 苦しみのせいか、言葉の節々に亀裂が入る。 「我が、体は、すでに限界に、近かった!拙い貴様らの攻撃でも、倒せてしまうほどになッ……!」 その言葉に4人の中心にいる人間は言い知れぬ不安を抱いた。 (魔界の幹部レベルすら一掃する攻撃の猛襲が、拙い……?) 「私は、もう、間もなく果てる。非常に不本意だが、間接的にも我を、倒すことになる人間よ、貴様らの名を、聞いて、おこう……」 4人の中の一人が僅かな間をおいて答える。 「私の名は――   ――であり、貴様を討つ人間、『勇者』だ。」
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