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「拙い、名だな……人間…いや、勇者……よ」
目から光が消える
「ああ……無念だ。魔物の夢が、あと少しで実現できる、このタイミングで、この世を去るとは、な……」
「貴様らの夢も存在も、私たちが全て消し去ってやるさ」
魔王の無表情に僅かに笑みが灯る。
「残念だが、それは……無理だ」
「いいや、貴様が死んだ後に必ず……」
言葉が魔王の声に遮られる。
「私は、死なない」
「必ず、必ずこの世に舞い戻り、今度こそ貴様ら、人間を破滅に導こうぞ!その時まで……」
その瞬間、4人の不安が一瞬で肥大する。
「滅ぼされて、くれるなよ?」
魔王の傷口から、血に代わって漆黒の煙が立ち上る。
「伏せ――!」
勇者が行動を伝え終わる前、どこまでも黒い爆発が最深部で爆音を轟かせた。
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