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無とは言えぬけれど有とは決して言えない空間。
曖昧な世界の境界にそれはいた。
それは死後・生前の魂の管理者であり、一般的には神、死神として畏れられる。
いつも通り、魂を過去も未来も無作為に割り振っていたそれは、何かの違和感を感じ取ってふと手を止める。
[これは……ほう、魔界の王か。だが、これほど生に執着する魂も珍しい。まだ何か成し遂げぬまま終わったのか……それとも、何も成し遂げずに終わったのか?]
静かに黒い魂の前世を読み取るそれは、僅かに考え、そして
[成程、そうか]
と言うと、静かに魂を見送った。
[それならばお前に来世を与えよう]
そう言ってから、付け加えるように
[但し]
[神は性格が悪いのだ]
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