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「鬱陶しいだけです。ところで、今日は帰ってもいいですか? 服が汚れてしまったので」
「買ってやろうか?」
「いりません」
「じゃあ、帰ろうか」
あっさりと了承してくれた。
芯さんが優しいのも、私に害をもたらすことはしないと分かってるけど、やっぱり苦手だ。
何を考えているか読めない笑顔も、私を気遣う優しさの裏で何かあるんじゃないかと考えてしまう。
ドリンクバーだけだったので、芯さんの分も払うと微妙な顔つきになったのは気づかないふりをした。
「俺が出すって言ってるのに」
「結構ですよ。これぐらいさせてください」
「大学は楽しい?」
たまに脈絡ない話題をいきなり投げつける。
初めのころは、めんどくさくてろくに口を聞かなかったが、毎回懲りずに聞いてくるからいつも適当に答える。
「まあまあです」
「彼氏は出来そう?」
「さぁ? 必要ないと思います」
欲しいとも作ろうとも思わない。
「それは良かった。友達、もっと増えるといいな」
芯さんの呟きに月斗君と都神さんが頭に浮かんだ。
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