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「二階がカフェになってんの。ケーキも紅茶も珈琲も絶品だよ」
楓さんの後ろを歩いていると、どうやら私は一軒家の裏側にいたみたい。
楓さんは買い出しの帰りだったそうだ。
「一名様ご案内でーす」
マスターらしい男性が出てきた。
「珍しいな、この時間帯に客なんて」
二十代後半かな。
あんまり芯さんと変わらないように見える。
「しかも、こんな可愛い子をどこから拉致ってきたんだ?」
「連れてきたのよ」
店内はそこまで広くないスペース。
だけど、テーブルや椅子は落ち着いたシンプルなもので私好み。
色々なところにバランス良く飾られた観葉植物や花の彩りが可愛い。
「あたしの奢りだから好きなの選んで」
流れでここまで着いてきて、初対面の人たちとお茶するとは思わなかった。
「それじゃ、紅茶をお願いします」
「そう言えば、急いでたみたいだけど大丈夫だった?」
言われて、思い出してしまった。
顔はよく見えなかったけど、なんだか見てはいけないものを見てしまったような気がして。
「連れてきて、今更それ聞くか?」
「思い出しただけマシでしょう?」
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