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「大丈夫です。ちょっと道を間違えたらここの近くまで来てしまって」
「あーこっち何もないからね」
サバサバしてて、見て話していても気持ちの良い人だ。
周りには気分を悪くしてくれる女が多いから、新鮮な空気をもらった感じ。
「お待たせしました。これはサービス。楓はこっちな」
「サンキュ」
楓さんの分まで用意されたカフェラテ。
私の前におかれたケーキ。
「俺、ここのマスターの司。こっちは知っている通り楓。俺の奥さん」
ポカンとしている私に、ふたりは楽しそうに話し出した。
「大学の時に知り合ってね。それからの付き合いで今に至るわけ」
「まさかこんなところでカフェやるとは思わなかったけどね」
「でも、ここって大学の敷地内じゃ」
「元々ここに建っていたのをリフォームしたんだ。あとはコネ」
サラッとなんでもないように言った。
「ところで、君の名前は?」
「香築鈴です。あっちの大学の一年です」
「じゃあ、あたしの後輩じゃない」
思わぬ偶然に驚いた。
楓さんは今いる教授の裏情報や、レポートに役立つ図書館のおすすめの本を何冊か教えてくれた。
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